近況愚写録 

マクロレンズ一本勝負。
( 2013年9月28日 )


kinoko

松葉にびっしりついた、小さな小さな白いきのこ。
名前はわかりません。


快晴。
事務所前の温度計は2度、
フォレスターの外気温計は5度。

コケコケの森で小さなきのこをメインに撮影すべく、
60mm、105mmのマクロレンズを用意。

きのこを撮るには、
焦点距離が短い方がぶれにくいし、
少しでも被写界深度を稼ぎたいし、
何より少しでも軽い方がいいので、
おのずと60mmマクロの出番が多くなる。

ぼくの持っている105mmマクロは古いレンズで、
描写はきりりとしているけど、ボケが八角形っぽくなるし、
オートフォーカスがもたつくので、ここのところ、
ほとんど出番がなくなっている。
(結局、今日も、出番なし)

人間の動きに敏感な昆虫の撮影とか、
ワーキングディスタンスを長く取りたい機会が、
あんまりないからなあ……。

小さなきのこの撮影は、やっぱり、面白い。
ミニ三脚があるのに、無精して手持ちで撮影したら、
やっぱり、ブレていた……(涙)。

反省。

今シーズン初めて、
長靴をはいた足先が、寒さでかじかむ。


ボリボリことナラタケは、
コケコケの森でも猛威をふるっていた。

ウスムラサキフウセンタケが出始め。
ムラサキフウセンタケはそろそろ終わり。

晩秋を彩るカベンタケも出始め。
あちこちで見かけるようになった。

ナメアシタケ、シロコナカブリ、多数。
ベニカノアシタケ、コウバイタケ、そこそこ。


benikanoashitake

ベニカノアシタケ


benikanoashitake

ベニカノアシタケ


kabentake

カベンタケ


koubaitake

コウバイタケ


阿寒湖温泉での写真展『静かな湖畔の森のきのこ』、
好評開催中です。10月31日まで。
(10月1日から作品を一部入れ替えて展示します)
奏楽の森カフェ


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 近況愚写録 

ちょいグロ、冬虫夏草。
( 2013年10月3日 )


友人にして、ぼくのコケの師匠、
『コケはともだち』 の著者である、
藤井久子さん が、はるばる阿寒湖まで遊びに来た。

超ディープな森歩きの2日目にお連れしたコケコケの森で、
今まで見たことがない冬虫夏草を発見!

なんと、なんと、
芋虫から子実体がにょきにょき出ているの。
藤井さんが隣にいるにも関わらず、
お〜!と、思わず声を上げてしまった(笑)。

きのこに生命を奪われてしまい、
成虫になれなかった芋虫くんには申し訳ないけど、
きれいなオレンジ色の子実体が並んでいる姿に、
しばらく見惚れちゃったさ。

子実体は、サナギタケそっくりなので、
サナギタケがちょっと早とちりして、
幼虫が蛹になる前に発芽したのでは?
なんて想像していたのだけど、
事務所に戻ってインターネットで調べてみたら、
どうやら、もともと芋虫から発芽するタイプの冬虫夏草で、
その名も、ミジンイモムシタケ、と言うみたい。

いいもの見せていただきました。
眼福、眼福。

ちなみに、藤井さんと森へ行ったときには、
一眼レフカメラを持って行かなかったので、
今日、改めて、撮影に出かけた、というわけ。

そしたら、すぐ近くに、
真新しいサナギタケを見つけた。
こちらも、すごくきれい。

ああ、きのこって、面白いなあ。


sanagitake

冬虫夏草の、サナギタケ。


sanagitake

サナギタケの根本のコケをかき分けてみた。



そして、
以下、グロ画像注意!
(芋虫から発生している冬虫夏草です)


















mijinimomushitake

ミジンイモムシタケ


mijinimomushitake

ミジンイモムシタケ


阿寒湖温泉での写真展『静かな湖畔の森のきのこ』、
好評開催中です。10月31日まで。
(10月1日から作品を一部入れ替えて展示しています)
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 近況愚写録 

阿寒コケコケの森 プロローグ
( 2013年10月4日 )


友人にして、ぼくのコケの師匠、
『コケはともだち』 の著者である、
藤井久子さん が、はるばる阿寒湖まで遊びに来た。

超ディープな阿寒の森に思いっきり浸りたい!
というリクエストにお応えすべく、コケときのこを、
思いっきり堪能していただくプランを練った。


ぼくの友人知人が阿寒湖へ来る理由は、
ほとんどすべての場合、阿寒の森が目当て。
藤井さんも例外ではない。

軽くお酒を飲みつつ、ご飯を食べつつ、
翌日以降の行動計画を説明するために、
向かった先は、超絶アイヌ料理屋・ポロンノさん。

ビールと「お任せ」のおつまみを頼む。


poronno

シイタケとホタテの稚貝の発酵バター炒め(左奥)、
シカのバラ肉の煮付け(右奥)、ポッチェイモ(手前)。


poronno

イカとイクラと大葉のあえもの。


yukkuset

締めは、アイヌ料理の定番、ユックセット。

おいしゅうございました。


残念ながら、予報では、お天気は下り坂。
でも、森でコケやきのこを見るなら、
多少雨が降っているくらいの方が、
しっとり、つややかなので、気にしない、気にしない。

そして、そして。
友人、知人たちは、ほとんどすべての場合、
滞在中、少なくても1日は、早起きを強要され、
朝っぱらからカヌーを漕がされる羽目になる(笑)。


canoe

雌阿寒岳方面を望む。



しかしながら、
この早朝のカヌーがみんなに好評なのよ。

目覚めたばかりの森の一画から、
鏡のような湖面へと漕ぎだす快感!

カヌーという原初的な乗り物ならではの静寂。
水面すれすれから見上げる森の姿。
阿寒の原生林に囲まれた貸し切りの風景……。


canoe

阿寒湖温泉街を望む。


時に森へ分け入り、時に島へ上陸し、適当な場所で、
豆をその場でガリガリ挽いたコーヒーや、
モーニングティーをいただくわけです。

ほっ。

90分〜120分くらいかけて、
阿寒湖を堪能したあと、一度温泉街に戻り、
もろもろ準備をして、
いざ、森へ。

(「阿寒コケコケの森」シリーズは、数回続きます)



阿寒湖温泉での写真展『静かな湖畔の森のきのこ』、
好評開催中です。10月31日まで。
(10月1日から作品を一部入れ替えて展示しています)
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 近況愚写録 

阿寒コケコケの森 その1
( 2013年10月5日 )


友人にして、ぼくのコケの師匠、
『コケはともだち』 の著者である、
藤井久子さん が、はるばる阿寒湖まで遊びに来た。

超ディープな阿寒の森に思いっきり浸りたい!
というリクエストにお応えすべく、コケときのこを、
思いっきり堪能していただくプランをご用意……。


初日。

朝、カヌーに乗っているときは大丈夫だったけど、
いざ森へ向けて出発、という矢先に、
雨が降ってきたので迷わずレインウエアを着こむ。

初日のみ、阿寒ネイチャーセンターの、
秋のきのこツアーにご参加いただいたことがあり、
藤井師匠ともインターネットでやりとりがあるという、
斜里町在住でコケ好き写真好きのK女史が同行する。

お二人をご案内したのは、
足寄町のオンネトー周辺で、
雌阿寒岳山麓に広がるアカエゾマツの森。

足寄峠を越えて十勝へ入ったら天気が回復するかも、
と、一縷の望みを持ったけど、やはり現地も小雨模様。


駐車場から木道へと歩き出してすぐに、
「あ!ちょっと待って下さい……」と、師匠。
振り返ると、早くもルーペとカメラで、観察&撮影体勢。

fujii shisyo

駐車場の脇は湿地帯になっていて、
ミズバショウやワタスゲやクレソンなどが見られる。
水の底が赤茶色をしているのは、鉄分が多いため。


「これ、ミズゴケの仲間ですね」
と、言うやいなや、
すっすっすと、3本のコケを抜き取る。

何十回歩いたかわからないくらい慣れ親しんだ木道であり、
そこに、モウセンゴケとかミズゴケがあることは、
なんとなく分かっていたけど、じっくり見るのは初めて。

同じミズゴケの仲間であっても、
形がこんなに多様であることに、びっくり。
そして、
こんな素敵な世界が広がっていることに、ぎくり。

どうして今まで気付けなかったのだろう……。
いかに、森で、きのこしか見ていなかったことか。


mizugoke no nakama

採取したコケは、観察したあと、
生えていた場所へ戻す。


ミズゴケの仲間もそうなんだけど、
コケは似たような種類がたくさんあるので、
観察にはルーペが必需品なのだ。

師匠に借りた宝石鑑定用の10倍ルーペで、
手にとったコケをじっくり見る。
(後日、アマゾンでルーペを購入!)

そこには、肉眼で見るのとはまったく別の世界が!
半透明っぽく見える細部の造形のきれいなこと!
自然は何もかもが美しい……。

そして、きのこと同じく、コケも、
正確に種類を同定しようとするなら、
顕微鏡を使った観察が必要になる。


しゃがんで、コケの有無を確認しては歩を進め、
時折、ルーペを出してじっくり観察……。
観察を終えると、写真カシャカシャ。

師匠だけではなく、K女史も同じようなペース。

その昔、国会で、
牛歩戦術ってのが話題になったことがあるけど、
今日のこのペースは、牛歩どころか、蝸牛歩だ(笑)。

前夜、冗談で、100m進むのに1時間かかったりして、
なんて言っていたけど、まさか、それが本当になるとは!
「コケの人」の熱意というか執念、おそるべし……。

阿寒の森は、けっこうたくさんのコケが見られ、
本州で言うなら高山帯の環境に近いので、内地の人には、
普段あまりお目にかかれないタイプのコケが生息しているので、
コケ好きの人にも、やはり、高評価。
だって、やっぱり、森がいいもの!


蝸牛歩ペースでのんびり進みながら、森の奥へ奥へ。
立ち枯れのトドマツをルーペでチェックしていた師匠が、
「あ!これ、初めて見るコケです……」

mukumukugoke/fujii shisyo

ルーペとピンセットの扱い方ひとつも、
とても堂に入っている師匠。


何でも、ムクムクゴケという、
とてもかわいらしいなまえのコケの一種らしいけど、
コケ自体が珍しい?
いや、
胞子体が出ているのが珍しい?
すみません、何が珍しいのか、忘れちゃった……(涙)。

とにかく、とにかく、
なかなか珍しいコケに出合えたみたいで、
こちらとしても、お連れした甲斐があるというもの。


「はい、これを見てください」
と、師匠。

林床からむくむくふわふわしたコケを拾い上げる。
一見、ミズゴケかと思ったので、そう告げると、

「全然違います!」

と怒られてしまった。

fujinomannengusa/fujii shisyo


「これは、フジノマンネングサといいます」

「名前の最後に、コケ、がつかないんですね」

「そうですね、亜高山帯でよく見られるコケです」

「ここは標高600mですが、さすが寒い阿寒」

「地下茎が横に長く伸びて、そこから茎が立ち上がります」

「なんか、ふわふわしてかわいいですね」

コケ好きのK女史にとっては既知のコケらしい。
「知床五湖周辺にも生えてますよ」
と、さすがである。


生木に、倒木に、林床に、岩に、
歩けばコケが目に入るので、
なかなか前へ進めない(笑)。

気がつけば、11時半。
ちょっと小腹がすいたので、
倒木に腰掛けて、おやつタイム。

ふう……。

ここは、2011年に、
写真評論家にして、超きのこ愛好家、
飯沢耕太郎さんをご案内したとき、
飯沢さんが東京から持参したウクレレを弾きまくった場所である、
と、まあ、どうでもいい説明をする(笑)。

紅茶と軽いケーキで、ひと休み。
アカエゾマツの枝が張り出しているので、
小雨はまったく気にならない。

あっ、おやつの写真を撮るのを忘れた(笑)!


fujii shisyo/k joshi

師匠は、キヤノンのEOS Kissと、接写に強いリコーのコンデジ、
K女史は、オリンパスOM-D E-M5と、ミラーレスのPENを愛用。


さて、
二人が撮影しているものは一体……。
木の根本に付いたコケ?
いえいえ(笑)。

コケ女子を夢中にさせたもの。
それは……。

じゃじゃ〜ん。

nukahokori


そう、激写しているのは、コケではなく、
粘菌の、ヌカホコリなのでした!

コケ女子ゆえ、二人とも、
このかわいさをわかってくれた(笑)。

なんせ、同じ「隠花植物」愛好家ですからねえ……。


13時半。
ようやく、車に戻る。

おなかが減ったので、
すぐにでも昼食を食べたいところだけど、
絶品おそばが食べられる、あいおい道の駅へGO!

あと、30分の我慢……。


「阿寒コケコケの森」シリーズは、まだ続きます……。
前回分 プロローグ を見る。


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 近況愚写録 

阿寒コケコケの森 その2
( 2013年10月6日 )


友人にして、ぼくのコケの師匠、
『コケはともだち』 の著者である、
藤井久子さん が、はるばる阿寒湖まで遊びに来た。

超ディープな阿寒の森に思いっきり浸りたい!
というリクエストにお応えすべく、コケときのこを、
思いっきり堪能していただくプランをご用意……。


あいおい道の駅のおいしいおそばで空腹を満たし、
またまた足寄町オンネトー方面へ戻る。

雨降りなので、雌阿寒岳も阿寒富士も霧の中。
オンネトーに沿ってそのまま進み、湯の滝の駐車場へ。

初日、後半戦、スタート。
やはり、雨。


藤井師匠が早速手にしたのは、
林床を幾重にも厚く覆うように生えている、
まるで羽毛のような形のコケ。

「はい」
と、コケを両手でびろ〜んと、伸ばす。

おお!

iwadaregoke

当然ながら、師匠は、
コケの扱いが非常に丁寧なのだ。


これは、イワダレゴケ、と言うそうだ。
亜高山帯、そして、針葉樹の森でよく見られるとか。
まさに、阿寒にピッタリのコケではないか!

前年伸びた柄の途中から新芽が出る、を繰り返すため、
伸びている羽状の部分を数えると、
おおまかな生息年数がわかるという。

師匠が手にしている個体は、
1、2、3、4、5、6、7と、
少なくても7年以上生息していることがわかる。

う〜む、コケも奥が深いなあ……。


駐車場から湯の滝まで、約1.4キロ。
普通なら30分かからずに歩ける距離だが、
こちとら、コケ女子一行の蝸牛歩進行である。

雨だし、すでになんとなく薄暗いし、
17時を過ぎると真っ暗になってしまう旨をご説明して、
やや歩みを早めていただく。

林道脇に横たわる大きなシナノキの倒木に、
大量のホコリタケがついて、表面をびっしり覆っている!

「あ、あ」
という声が、後ろからもれる。

さすが師匠、きのこにも目ざとい!
と、振り返ると、当の師匠も、K女史も、
谷の反対側を注視(笑)。

当然、その視線の先には、コケが……(笑)。

トドマツの根本をびっしり覆うように、
重なって生えている。

そのコケが、これだ。

dachougoke


「ダチョウゴケです。高山帯でよく見られます」

不勉強なので、ダチョウの羽毛と、他の鳥の羽毛が、
どこがどう違うのか、まったくわからないのだが、
ダチョウゴケの「羽毛」部分は5cm以上もあって、
他のコケに比べてみるとかなり大型である。

名前の由来はダチョウの羽毛のように大きいからか、
(ダチョウの羽毛って大きいですよね?)
と想像するも、正しくはわかりません(笑)。

師匠にも、何となく、聞きそびれてしまった。

「形といい、名前といい、特徴があるので、
すぐに覚えられると思います」

そ、それを先に言われてしまうと……。
う〜む……。


で、そう、ホコリタケだ。
ものすごい大群落を形成している。

「ぷしゅぷしゅしてみますか?」

「はい」

fujii shisyo

満面の笑みで、胞子活動(笑)。


fujii shisyo

当然のことながら、手は胞子だらけ……(笑)。


さて。

歩きはじめ、緩やかに右へカーブするとすぐ、
左側はやや切り立ち、右側は低く開けた地形になる。

ごろごろ転がっている、とても大きな岩の上を、
根っこが覆うようにして立派な木が生えている。
岩の表面はコケや地衣類がきれいに覆っているので、
岩の地肌?が露出している部分はほとんどない。

「地震がくるとちょっと怖いですね」
上を見上げて、師匠が言う。

「根っこがぎゅっとしているから大丈夫では?」
と、楽観主義的きのこ写真家、
じゃなかった、今日は、コケの弟子。

意識して見てみると、
見上げても、倒木上も、足下も、
見れば見るほど、コケ、コケ、コケ。

阿寒の森は、実は、コケもすごいのだ!

koseitakasugigoke koseitakasugigoke

コセイタカスギゴケ。左が雄株、右が雌株。


湯の滝へと続く林道は、
平日であれば、観光客もさほど多くないし、
車の通行が菌糸、もとい、禁止されているので、
その気になりさえすれば、きのこやコケを、
大胆に寝そべって観察することも可能である(笑)。

そして、何を隠そう、この場所は、
泣く子も黙る、超ベニテンスポット!

普通に林道を歩くだけで、
目移りするくらいのベニテングタケと出合えるのだ。
(蹴飛ばすのはやめましょう!)

今年は特に、タマゴタケもたくさん発生。
7月中旬くらいから、途切れることなく、
長期にわたって、目を楽しませてくれた。

さらに、例年、9月中旬頃になると、
ベニテングタケ、タマゴタケ、ドクツルタケが揃い踏み!
きのこファンならずとも楽しめること請け合い。

まあ、いくらコケ女子とて、
ベニテングタケの魅力に抗うことはできないだろう。
できないったら、できないのだ(笑)!

benitengutake

でっかいベニテン、発見!


benitengutake

見て、触って、撮る!


で、まあ、説明が遅くなってしまったけど、
湯の滝、というのは、その名の通り、
温泉が滝になって流れ出しているのね。

その昔は、温泉として普通に利用されていたけど、
そこに生息している微生物が酸化マンガンを作り出していて、
しかも世界でまだここでしか確認されてないってことがわかり、
今では温泉に入ることはできなくなったというわけ。

どこかのバカが湯坪に熱帯魚のグッピーやテラピアを放し、
それが繁殖してしまい、足寄町では駆除にかなり苦戦している。

で、ここが、コケトリップ初日の最終目的地である。

湯の滝は、黒い酸化マンガンが浮き出ているその周りに、
コケがびっしり生えているのだけど、もしかしたら、それは、
コケ好きが狂喜乱舞するほどの特殊なコケかもしれないしょ(笑)?

だって、この滝を流れる水には、
酸化マンガンを作り出すバクテリアが棲んでるんだから!
どう考えても、普通の環境じゃないよなあ……。


木々の葉っぱが頭上を覆っているので、
雨はそれほど気にならない。

時に、歩みをとめて、
コケやきのこを観察する、至福の時間。

行きは、なだらかに登っていく感じ。
ほぼ真っ直ぐのダートを歩き、最後に右に折れ、
足下の石が大きくなったところを左に下ると、
水の流れ落ちる音が聞こえてくる。

湯の滝、到着!


yunotaki

湯の滝。


yunotaki

早速コケをチェックする師匠。


yunotaki

左の短いの、右の長いの、両方、同じ種類なのだとか。
同定は後日の宿題、です。


帰路は、同じ道を歩く。

秋の日はつるべ落とし、だし、
小雨が降っているので、みるみる暗くなる。

17時半、阿寒湖帰着。
真っ暗(笑)。

師匠、ならびに、K女史、
雨の中、丸一日の散策、お疲れさまでした。


「阿寒コケコケの森」シリーズは、まだ続きます……。
前回分 その1 を見る。
前々回分 プロローグ を見る。


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 近況愚写録 

紅葉と、マリモ。
( 2013年10月8日 )


onneto

オンネトーの紅葉。10月8日早朝。


忙しい1日の始まりである。

まず、早起きして、日の出前にオンネトーへ。
オンネトーの紅葉は、ほぼ、見頃。
と、いうか、翌日以降、お天気下り坂なので、
独断と偏見で、今日が見頃だと決定します(笑)。

これで、3年連続して、赤系の葉っぱが鮮やかにならない秋。
去年や一昨年は、猛暑に加えての、秋の暑さのぶり返しが原因、
今年は「低温多湿」だった夏の影響が大きいと思われる。

いつになったら燃えるような紅葉が復活するのだろう?
何より、昨今、目に見えて色が薄くなっている、
オンネトーの鮮やか過ぎるブルーの復活はあるのだろうか?

ま、それはそうと、オンネトーの紅葉具合をご覧あれ。

なるべく鮮やかそうなところを選んで撮影したのだけど、
世界に誇る SONY RX100 の技術力が、ちょっと物足りない紅葉を、
見た目よりもやや鮮やかに見せてくれるのだった……(笑)。


onneto

オンネトーの紅葉。10月8日早朝。


onneto

オンネトーの紅葉。10月8日早朝。


そして、阿寒湖温泉では、10月8日から3日間、
まりも祭りが開催されるのであった。
紅葉時期と重なるので、訪れる観光客も多く、
毎年、なかなかの人出で賑わうのだ。

初日
マリモについての講演会。
マリモ生育地見学。

2日目
マリモ踊り行進、まりも御輿。
アイヌによる、マリモを迎える儀式、マリモを護る儀式。

3日目
アイヌによる、マリモを送る儀式、マリモを湖に送る儀式。
湖岸園地での、アトラクション。
などなど。


marimo seminar

釧路市教育委員会マリモ研究室 若菜勇氏


で、マリモについての講演会と、
マリモ生育地見学に参加してきた。

若菜勇氏の講演のテーマは、
「水草の繁茂によって圧迫されるマリモの生育状況」。

内容をかいつまんで記す。

阿寒湖は、もろもろの努力などにより、
ここ数年、水質が改善され、透明度も増した。
ところが、そのために、
マリモ以外の水草が繁茂するようになってしまった。

大きくなったマリモは波動の影響を受けやすくなり、
大風が吹いたときなど陸へと打ち上げられるようになり、
5〜9年周期で「大量打ち上げ」が発生する。

実は、これがマリモの繁殖に大きく影響していて、
時々、打ち上げられて、壊れて、
仲間を増やしていく方が生息には有利なのだ。

マリモは大きくなればなるほど、
光合成のエネルギーをより多く必要とするため、
効率のいい小さい方が生存には適しているから。

ところが、水草が繁茂すると、
マリモの光合成が阻害されるだけではなく、
打ち上げられようとするマリモの動きも止めてしまう。

また、防風堤のような役割をするため、
水流を変化させる原因になるなど、
複合的な影響が考えられる。

いまや、阿寒湖の水中では、
マリモと水草が壮絶な生存競争を繰り広げており、
マリモを保護するためには、
早急の対策が必要とされるだろう。

以上。


食事を挟んで、午後から、マリモの生息地へ。
特別保護区に立ち入り、特別天然記念物を触る、
という、例外中の例外が、1日だけ許されるのであった。

もちろん、参加しない手はない。


marimo kansatsu

胴長をはいて、マリモ生息地へ。


kansatsu

風もなくおだやかな、阿寒湖(特別保護区)。


kansatsu

打ち上げられたマリモと、解説をする若菜氏。


kansatsu

漁船に乗り込み、箱メガネ?でマリモ観察。


marimo

マリモと、雄阿寒岳。


marimo

マリモは、水から出すとひしゃげるのだ。


ああ、充実した1日だった。
さ、原稿書き、原稿書き……(涙)。



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 近況愚写録 

阿寒コケコケの森 その3
( 2013年10月9日 )


友人にして、ぼくのコケの師匠、
『コケはともだち』 の著者である、
藤井久子さん が、はるばる阿寒湖まで遊びに来た。

超ディープな阿寒の森に思いっきり浸りたい!
というリクエストにお応えすべく、コケときのこを、
思いっきり堪能していただくプランをご用意……。


阿寒コケトリップ2日目。

やはり、雨。
それで、いいんです。
コケときのこを見るんだから!

ぼくの大好きな「コケコケの森」へご案内。

kokekokenomori

kokekokenomori

雄阿寒岳南部に広がる森の一角は、超コケコケ地帯!


車を停めた林道から外れて、小高い崖をよじ登り、
きのこを観察しつつ、獣道をたどり、道無き道を進み、
ササの藪を、これでもか!と漕いて漕いで、
ようやく、コケコケ地帯に突入!
目の前に広がるのは、夢か幻か真実か!

と、いう感じで、
誰かをこの場所へ連れて行く場合はいつも、
ネイチャーガイド的演出をしているのね。
苦労して辿り着いた先の、楽園。
劇場効果(笑)?

実際はというと、何と、
車から下りて1分で行けるのさ(笑)。
そういう意味でもすごい場所なのだ。

雨が降っているので、
そういう「演出」はなしで、
車から下りて、いきなりコケコケ地帯へ突入。
何回来ても、素敵な場所!

きのこ写真を撮るために訪れるときは、
脇役、かつ、引き立て役、緑の絨毯、
くらいにしかコケのことを考えてなかったけど、
藤井師匠と共に訪れ、コケ目線で見ると、
たくさんの種類のコケが生えていることに気づく。

fujii shisho

fujii shisyo

コケの種類は、
スギゴケとミズゴケが目につくなあ、
なんて思っていたけど、実は、
スギゴケにもミズゴケにもたくさんの種類があり、
さらに、ちょっと見ただけでも、
フジノマンネングサやら、
タチハイゴケやら、イワダレゴケやら、
たくさんのコケが混じってることに唖然とした。

tachihaigoke

タチハイゴケ

今まで、いかに何も見てなかったか!
人間は、興味があるものしか見てないんだなあ……。

ここは、一面コケに覆われているだけではなく、
たくさんの種類のきのこはもちろん、粘菌も見られるし、
ヒカゲノカズラ、ホソバトウゲシバ、マンネンスギなどなど、
シダの仲間もたくさん生えているし、
まさに、隠花植物天国なのだった。

きのことコケで何かコラボできたらいいですね、
なとど、常々、師匠と語り合っているのであるが、
そんな想いを一層強める光景が目の前にある。

隠花帝国、バンザイ!

なるべくコケにダメージを与えないように、
と思っても、コケの上を歩かざるをえない。
シカがつくった獣道をうまく使いつつ、
コケコケ地帯を歩きまわる。

トドマツの葉っぱが簡単な傘代わりになって、
雨はほとんど気にならない。


sanagitake

冬虫夏草のサナギタケ。

きのこ目の持ち主が、サナギタケを発見!
と、言っても、実は、数日前に撮影した個体だった。
道が無いとはいえ、ここへ来ると、
なんとなく同じルートを歩いてしまうのだった。


「ここが有名になったら、たくさんの人が来るでしょうね」
と、師匠。

「みんなに見てもらいたいような、秘密にしたいような……」

コケを「目玉」にした観光地もあり、
なかなかの人出を誇っているという。

やや低迷しつつある阿寒湖観光客誘致の一助として、
まあ考えられなくはないかもしれないけど、
やはり、ここは、秘密にしておきたいな。

もし、ここを訪れたいという人がいたら、
個人的に、ひっそりとお連れします、はい……。


fuuringoke

「師匠、このコケは何ですか?」

「あ、これ、昨日も見ましたよ」

「スギゴケですか?」

「特徴的な胞子体がついてませんが、フウリンゴケです」

「あ、あの、風鈴のような形をしたやつ……」


nezuminootake

「ここ、岩の一番端っこを見てください」

「細長いやつですか?」

「はい。これも、動物名前シリーズなので覚えやすいです」

「はあ……」

「何かに似ています」

「ミミズですか?」

「尻尾です、動物の尻尾」

「柴犬の尻尾は巻いていますが……」

「ネズミの尻尾のような形をしているので、ネズミノオゴケです」

「なるほど、言われれば、確かに……」

「トラノオゴケ、と言うのもあります」


移動して、しゃがんで、ルーペで観察して、写真を撮って、
移動して、しゃがんで、ルーペで観察して、写真を撮って、
移動して、しゃがんで、ルーペで観察して、写真を撮って。

「1日中ずっとここにいたいくらいです!」

と、師匠はおっしゃるのであるが、
お連れしたい場所がまだまだあるので、
泣く泣く移動していただくことにした。
とはいえ、徒歩数分なのであるが。

コケコケの森のすぐそばの、コケの森(笑)。
そう、先ほどまでの場所とは密度が多少違うものの、
コケがたくさんあることには違いない。

そして、さっきの場所では見つけられなかった、
ぼくの大好きなコウバイタケが見られる場所でもある。

すぐに、コウバイタケ発見。

koubaitake

「かわいい!」

と、師匠の食い付きもすこぶるいい。
さすが、レディーキラーと言われる、コウバイタケ(嘘)。

高さ3cmくらいの小さなきのこだけど、存在感抜群。
雨に濡れて、きらりと輝いている。

よく見ると、あちこちに生えていて、
しかも、傘が開ききっていない、状態がいいものばかり。
やはり、雨の日は、きのこ観察にもってこい。

気がつけば11時を過ぎている。
大きなアカエゾマツの根本で、
ちょっと遅いけど、おやつタイム!
(また、写真を撮るのを忘れた!)


この辺りに生えている大きな木の根本の多くは、
よくよく見ると、たくさんのダチョウゴケで覆われていて、
師匠は、観察、撮影に余念がない。

さらに、コケの森を奥へ進んでいくと、
大きな岩があり、たくさんのコケが付着。
師匠の目がきらきらする。

ebigoke

「さて、このコケは何でしょうか?昨日も見ました」

「ああ、見ました。岩の側面に付くやつ」

「そうです、そうです」

「触ると、もふもふするやつ」

「そうです、これも、動物シリーズです」

「あ、エビゴケ」

「正解!」


yunotaki

「では、このコケは何でしょう?昨日も……」

「降参!」

「早っ。エゾチョウチンゴケです」

「あ、そうか、アタマから毛がびょ〜んって伸びている!」

「そう、これから新しい個体になる、無性芽ですね」

「昨日見たやつはもっと目立っていましたよね」

「それがエゾチョウチンゴケの特徴です」


「ああ!」という、叫び声にも似た、
師匠の言葉につられて地面を見ると、
きのこの、フクロツチガキが!

さすが「コケ目」は「きのこ目」にも通じる。

「これはさっき見たホコリタケと同様に、 
 降雨や、動物に踏まれたりすることで、 
 胞子を排出するシステムになってます」 
と、師匠に簡単な説明をする。

fujiisishiyou/fukurotuchigaki

青いコケTシャツに、首から下げた観察用のルーペ。
その胸元に、きらりと光るフクロツチガキ(笑)。

さすが、です。
何て素晴らしいコーディネート!


yunotaki

岩の表面に、3種勢ぞろい。
サナダゴケの仲間(左)、タマゴケ(中)、
そして、エゾチョウチンゴケ(右)。


yunotaki

そして、冬虫夏草のミジンイモムシタケを激写する師匠。
コケもいいけど、きのこもいいでしょ!

コケを撮影する場合、基本的には団体さんなので、
「主人公」をなかなか決めることができず、
撮影するには、けっこう苦労するんだよなあ……。

また、きのことかシダが一緒に生えていると、
間違いなく「主人公」の座を明け渡すことに……。

がんばれ、コケくん。
負けるな、コケくん。

「阿寒コケコケの森」シリーズは、まだ続きます……。
前回分 その2 を見る。
前々回分 その1 を見る。
かつての分 プロローグ を見る。


阿寒湖温泉での写真展『静かな湖畔の森のきのこ』、
好評開催中です。10月31日まで。
(10月1日から作品を一部入れ替えて展示しています)
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 近況愚写録 

阿寒川の紅葉。
( 2013年10月10日 )


阿寒湖周辺は、いま、紅葉が見頃になりました。
雨降りの昨日、快晴の今日、2日にわたって撮影した、
阿寒川の紅葉写真をご覧にいれましょう。

きれいです。

言葉はいりません。


takimibashi


akangawa


akangawa


akangawa


akangawa/numeritsubatake

ヌメリツバタケ


akangawa


akangawa


akangawa


akangawa


akangawa



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 近況愚写録 

阿寒コケコケの森 その4
( 2013年10月11日 )


友人にして、ぼくのコケの師匠、
『コケはともだち』 の著者である、
藤井久子さん が、はるばる阿寒湖まで遊びに来た。

超ディープな阿寒の森に思いっきり浸りたい!
というリクエストにお応えすべく、コケときのこを、
思いっきり堪能していただくプランをご用意……。


阿寒コケトリップ2日目、後半。

コケコケの森から、阿寒湖温泉街に戻って、
ぼくの写真展会場の階下、奏楽の森カフェ へ。
ピザと、ドーナツと、コーヒーの昼食。

そして、阿寒川上流部へと車で移動。
きのことコケの森で紅葉もちょっだけ堪能するのだ。

takimibashi

阿寒湖の紅葉名所、滝見橋から。


kouyou

いつも最初に紅くなるモミジ。


それにしても、コケを見分けるのは、大変だ。
師匠が常に首からルーペをぶらさげていることでもわかるとおり、
細かい部分までしっかり観察しなければならない場合が多い。

往々にしてコケは小さいので、
ぱっと見ただけでは区別できず、
しゃがんで大分類、目を近づけて中分類、ルーペで小分類、
そんな感じで認識していく感じかなあ(笑)。

このコケをご覧あれ。

kuragokemodoki

その名も、クラマゴケモドキ、と言う。

「コケにもモドキという名前があるんですねえ」

「ええ、でも、それはちょっと特殊なんです」

「特殊、ですか」

「ええ、モドキではないクラマゴケはシダなんです」

クラマゴケモドキはコケ類で、
クラマゴケはシダ類とな!
まあ、ガンモドキも雁じゃないし(笑)。

岩に張り付いている小さな葉っぱのやつとか、
小さな小さなシダの仲間は、
コケと区別するのはちょっと難しいかも。
コケはなかなか手ごわいなあ……。

「コケのシノブゴケ、シダのコケシノブというのもあります」

ややこしや、ややこしや。


sugihiratake

スギヒラタケ発見!

その昔、優秀な食菌とされていたものが、
ある年突然、毒きのこ扱いされるようになったという、
人間的見地からすると、
劇的な運命に翻弄されているきのこなのだ。
(きのこには何も関係ないことだ)

何故そんなことになったかと言うと……。
ええと、詳しくは、 ほぼ日「きのこの話」 をご覧あれ(笑)。

釣り人がつけたと思われる踏み跡をたどり、
獣道を歩き、時々道無き道を進む……。

土付きの丘を登っているところで、
師匠が、すてん、と転んだ!

「ああ、びっくりした。大丈夫です」

本人はもとより、カメラも壊れてはいないようだ。
よかった、よかった。

雨が降っているので、いつもよりも、
土や落葉が滑りやすくなっているのだ。

一度川へ下りたところで、師匠は、
先ほど転んで汚れたレインウエアの汚れを洗い落とす。

「あれ、あれ」

と声がするので、師匠を見ると、
左肩が、真っ黒になっている。
真っ黒?そう、イカスミのように真っ黒!
水で洗うと落ちるのだが、この黒の正体は?
う〜む……(笑)。


長靴をはいているので川の中をじゃぶじゃぶ歩く。
そして、すぐにまた、陸地へとあがる。

小高い丘を下ると、目の前に、
温泉が湧きだしているのが見える。

fuuringoke

阿寒川沿いの天然温泉(施設なし、入浴不可)。温度は90度以上。


nezuminootake

モミジがきれいに色づいている中洲で、
師匠がしゃがみこんで、じ〜っと何かを見ている。
そして、写真を、パシャパシャ。

「これ、何だかわかりますか?」

と、師匠の目を釘付けにしていたものの正体が下の写真。

fujii shisho

う〜む……。

おそらくは、シダの仲間であろう、
というのが、二人の共通意見。
でも、あまり見たことがないタイプ。

それよりも、その造形の美しいこと!
こんな栞があったら欲しいかも。

そして、この中洲も、
陸地部分を一面、美しいコケが覆っている。
踏むのが申し訳ない。

fujii shisyo

やっぱり、ぱっと見には、
スギゴケとミズゴケに見えてしまう私……。

「濃い緑色は、スギゴケですよね?」

「はい、ウマスギゴケ、ですね」

(心の中だけで、そんなに美味しいんですか!とつぶやく)

「その周りの黄緑色のコケは何でしょう?」

「ひとつは、さっき話をしたコケですよ」

「ひとつは」と言うことは、
黄緑色したコケは一種類ではない、ということ……。
う〜む、誠にもって、コケは難しい。

「ほら、どうですか?」

tachihaigoke

「ふたつとも、似ていますね」

「よく見てください、密度というか、もふもふ感が違います」

「あ、なるほど」

「右がツヤゴケ、左がシノブゴケです」

「あ、あの、ややこしやの、シノブゴケですか!」


この中洲で、ちょっと、休憩……。

あとは、ほぼ同じ道を戻る。

雨が降っているだけに、
森の中はどんどん薄暗くなっていく。

薄い皮のような疲れが、1枚1枚、
どんどん体に巻き付いていくような感じ。

でも、もちろん、不快ではなく、
心地いいくらいの疲労の蓄積のおかげで、
今夜、間違いなくおいしいご飯が食べられる!

シラウオタケを見た場所、
ナメアシタケを見た場所、
冬虫夏草のサビイロクビオレタケを見た場所、
カベンタケを見た場所などを、行きとは逆に通り過ぎ、
(コケの名前をなかなか覚えられない……)
やがて、国道へ至る坂道へ。

阿寒コケコケの森トリップ、終了!

藤井師匠、まるまる二日間、お疲れさまでした。
まだまだご案内したい場所がたくさんあります。
ぜひ、また、阿寒湖へお出で下さい。

そして、そして、
これからも、コケ道の、ご指導、ご鞭撻のほど、
よろしくお願いいたします。

まずは、あれをやる前のあれ、やりましょう(笑)。


「阿寒コケコケの森」シリーズは、一応これで終わりですが、
もしかしたら、エピローグを加えるかも(笑)。

プロローグ を見る。
その1 を見る。
その2 を見る。
その3 を見る。


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 近況愚写録 

阿寒周辺の紅葉。
( 2013年10月12日 )


阿寒湖周辺は、いま、まさに、紅葉が見頃。
12日に撮影した、白湯山、オンネトーの紅葉の様子を。

おそらく、今年は、
これ以上の色味を期待するのは無理。

お天気は良かったけど、1日中強い風が吹き荒れたので、
けっこうたくさんの葉っぱが吹き飛ばされてしまった。

それと、道が細いオンネトーは、大渋滞発生。
この連休で訪れようという人は覚悟しておきましょう(笑)。

でっかいカメラと三脚を持った人がわらわら歩いていて、
人、人、人で、いつもの静けさはまったくなし。
写真家の米美知子さん率いる東京からの撮影ツアーも来ていた。


hakutousan

白湯山展望台から阿寒湖を見下ろす。今日もいいお天気。


bokke

白湯山登山道沿いに点在する泥火山ことボッケ前に、色鮮やかなモミジが。


bokke

ボッケ。ぽこぽこ。


ochiba

幾重にも降り積もった落葉も美しい。


onneto

阿寒湖周辺の定番紅葉スポットと言えば、オンネトー。


onneto

今年の紅葉は、赤系がやや茶色っぽくなってしまっている。




風車みたいに枝を伸ばしたダケカンバ。


shirafujinotaki

白藤の滝はひっそりしていた。



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 近況愚写録 

紅葉と、きのこ。
( 2013年10月15日 )


kofukisarunokoshikake

阿寒川の紅葉とコフキサルノコシカケ(右下)。


阿寒湖周辺の紅葉は、
赤系が茶色系になっているなど色味不足に加え、
ここのところの強風にたくさんの葉っぱが飛ばされ、
ほぼピークを過ぎてしまった感じ。

とはいえ、まあ、どうにか、そこそこ、
きれいと言えばきれいなんですけどね(笑)。

台風が来る前に、そして、阿寒を離れる前に、
きのこと紅葉のコラボを撮るべく、
早朝から阿寒川周辺の森をうろつく。

天気は目まぐるしく変わり、
晴れたり、曇ったり、雨が降ったり、晴れたり……。
紅葉がきれいな場所を見つけては、
周囲に生えているきのこを探す、という手順。

どんどん下流へ歩いて行き、
温泉が湧きだしている場所を過ぎたとき、
あったよ、ありました。
きのこ。

何回も通っているのに、
今まで何故気づかなかったと思えるような場所に、
掟破りのサルノコシカケ系きのこ発見!
立派なコフキサルノコシカケ。

紅葉と合わせて、けっこういい感じでしょ?



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 近況愚写録 

雪と紅葉の八甲田。
( 2013年10月31日 )


もう、10日も前のことになりますけど、
八甲田山へ行ってきました。
登山というよりも、写真撮影&ハイキング。

お天気にもめぐまれ、
楽しい1日でした。


kofukisarunokoshikake

酸ヶ湯温泉の上にある駐車場から見る大岳。


kofukisarunokoshikake

樹海の上にぶら下がる八甲田ロープウェー。
遠くに見えるのは陸奥湾。


kofukisarunokoshikake

遠くに岩木山。
この山を見ると、冬虫夏草のサビイロクビオレタケを思い出してしまう(笑)。


kofukisarunokoshikake

岩木山。なんて爽やかな眺め!


kofukisarunokoshikake

登山道はほぼ雪に埋まり、かつ、ぐちゃぐちゃ、どろどろ。


kofukisarunokoshikake

ひなびた温泉で行われた前日の大宴会をじゃじゃ麺で締めくくったのですが、
残った卵を茹でて持って行ったら、これがもう、絶品!
じゃじゃ麺の味噌をつけていただきました。


kofukisarunokoshikake

高層湿原を見下ろす超絶景。


kofukisarunokoshikake

実だけが残ったナナカマド。


kofukisarunokoshikake

いやあ、言葉がでないくらいの眺めですな。


kofukisarunokoshikake

高層湿原から下り始めると、すぐにブナの森になる。


kofukisarunokoshikake

ブナのシルエット。


kofukisarunokoshikake

ブナの森の紅葉。


kofukisarunokoshikake

紅葉真っ盛りの酸ヶ湯温泉。


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 近況愚写録 

開設12周年記念日。
( 2013年12月8日 )


shibainu hanasan

柴犬はなさん、強烈なカメラ目線!
実は、カメラの上に大好きな食パンを置いて撮影しました(笑)。


師走でございます。
ずいぶんと、更新が滞ってしまいました。

11月から12月にかけて、えいや〜と、
けっこう無理な仕事を入れちゃったうえに、
例年通りの、年末進行地獄……(涙)。

もちょっと計画的にならねばなあ、と反省。

なんか、国会では、
あれよあれよと無茶な法案が通ってしまい、
なんか、怒りを通り越して、ただ、あきれております。
しかしながら、あの党を、
選挙で選んだのも、選挙へ行かずに「承認」したのも、
そう、我々国民です。

国というものは、いざ、戦争を始めたら、
国民を守るどころか、命と財産を差し出せ!
と命令してくることを過去の歴史は語っています。

だからこそ、国のためではなく、
国民のための政治であって欲しいなあ、
と、強く願います、ほんとに。

そんな、本日、12月8日は、
太平洋戦争開戦の日です……。

そして、
John Lennon さまの命日であるとともに、
この「浮雲倶楽部」の12回目の開設日でもあります。


さて。
ツイッターやフェイスブックでは告知しておりましたが、
お知らせをふたつ。

菌友でデザイナーの、とよ田キノ子さんが、
ぼくの写真を使って、素敵な卓上カレンダーをつくってくれました。

calendar

年も押し迫った12月下旬頃の発売予定(笑)。
部数限定です!

ただいま、とよ田さんのサイトで予約受付中!


それから……。
来年、2014年1月25日(土)に、
朝日カルチャーセンター湘南教室で、
きのこと写真についてお話させていただくことになりました!

asahi culture center

会員以外の方でも参加可能です。
詳しくはwebで!


何はともあれ、今後とも、どうぞよろしくお願いします。


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