夏恒例日高山脈取材登山
(カムイエクウチカウシ山 〜 コイカクシュサツナイ岳)
(2008/08/03 18枚追加)


ふと、目覚める。
前日から断続的に降り続く雨の勢いが、
さらに増している。

札内川8の沢からカムイエクウチカウシ山に登り、
日高と十勝を分ける狭く厳しい尾根を、
ハイマツの大薮をかきわけかきわけ進み、
へろへろになりながら、ほうほうの体で、
ピラミッド峰、1823峰を越え、
コイカクシュサツナイ岳までたどり着いた。

カムイエクウチカウシ山の頂上で迎えた、
2日目早朝のわずかな時間を除けば、
太陽は姿を見せることなく、雨、雨、雨……。

まあ、いつものことだ(笑)。

南西から吹き続ける超暴風は、
テントをがたがた揺らしてポールをきしませ、
稲光とほぼ同時に轟く雷鳴は、
空気だけではなく大地も揺るがす。

野郎三人が息を潜めるテントの中は、
それだけでも十分むさ苦しいのに、
風圧と水圧でほぼ半分のスペースになったうえに、
薄い霧が立ちこめている、と、いうか、
霧雨が降っている!

不快指数、1000%だ。

さらに、恐ろしいことに、
ニンゲンの体温を感じてなのか、
二酸化炭素の放出を探知してなのか、
フライシートを這い上がってうごめいている、
ミミズやヒルのシルエットが見えるのよ。

ひぃ〜!
マジかよ!

見なかったことにしよっと(笑)。
(でも、気持ち悪い!)

目を閉じて、寝返りを打つと、
床に敷いたエアマットの下から、
ぴちゃぴちゃと音がする。

ん?

げげげ。
テントの中にも水がたまっているぞ!
これじゃあ、エアマットじゃなく、
ウオーターマットじゃねえか(笑)!

呆然……。

ものすごく幸いなことに、
背中の下に敷いた厚めのエアマットと、
ゴアテックスのカバーが絶大な威力を発揮し、
寝袋だけは濡れることなく、
超快適なスペースを保っている。

うとうと……。
二度寝は気持ち良い!と、思った瞬間に、
目覚ましが鳴り、現実に引き戻される。
午前3時半である。

協議するまでもなく、停滞決定。
(と、同時に、1839峰登頂も中止)
縦走4日目、ついに、雨に負けた。

心のどこかで、少しホッとしつつ、
暖かい寝袋に潜り込む。
憧れの、三度寝だ(笑)。

6時前に目が覚めると、
K師匠が、ラジオを付けていた。
相変わらず、すごい暴風雷雨だ。
雷鳴の雑音の合間に聞こえる天気予報が、
日高地方、十勝地方に、
大雨洪水警報が発令されたことを告げる。

JR日高線は運行停止。

道道も10路線で通行止め。

学校は臨時休校。

床上浸水3軒?

このテントも、床上浸水だ!
4軒に訂正してくれ〜(笑)!

いやいや、いやいや、
ホント、笑い事じゃないぞ(笑)!
凄まじい状況の真っただ中にいるのだ。

でも、
テントの中で気をもんでも仕方ないし、
別段することもないので、また、寝る(笑)。

目を覚ます。
何か、残り物をあさり、口に入れる。
水を飲む。
目を閉じる……。

それを3回繰り返したら、宴会の時間。
かつおぶし味のふりかけ!をなめながら、
最後の1本のビールと、ウイスキーを、ちびちび飲む。

全身に疲労がまわり、全身が筋肉痛なので、
少しのアルコールが睡眠導入薬に早変わりして、
またまた深い眠りの世界へ逆戻り。
いくらでも寝られる気がする。


賢明なる紳士淑女の皆さまなら、
ぼくが何を言いたいのか、
もうお分かりだと思います(笑)。

そう、今年2008年夏の取材登山は、
同行した雨男の、超絶的神通力を、
これでもか、これでもか、と、
実感させられたのであります。

しかも、夜中の12時に、大地震のおまけ付きだ!
(被災地にお住まいの方には、再度お見舞い申しあげます)

とりあえず、通常のルポは、
某誌来年夏の掲載までお待ちくださいませ(笑)。


それにしても……。

私が悪うございました。

雨神さまにおかれましては、
次の取材は、どうぞ、一瞬でも構いませんから、
青空を見せていただきたく存じます。

ぺこり、ぺこり(礼)。
ぱ〜ん、ぱ〜ん(柏手)。
ぺこり(礼)。



写真をクリックすると、大きくなります。

044001.jpg 044002.jpg 044003.jpg 044004.jpg 044005.jpg 044006.jpg
044007.jpg 044008.jpg 044009.jpg 044010.jpg 044011.jpg 044012.jpg
044013.jpg 044014.jpg 044015.jpg 044016.jpg 044017.jpg 044018.jpg



Copyright (C) ukigumo club All rights reserved.

PHOTO HOME

ご意見・ご質問・ご感想は、
ukigumo_c@mac.com
まで