近況愚写録 

閉塞感。
(2009年1月30日)

shibainu hanasan


こう寒暖の差が激しいと、
ニンゲンは、着るもので調整すればいいけど、
毛皮をまとったはなさんは、
なかなか大変なのではないか、
と思う今日この頃です(笑)。

そうそう、今まで、多少、
散歩嫌いの気があったはなさんですが、
最近では、

「お散歩へ行きますか?」

と、ぼくが声をかけると、
前足を揃えて、にゅ〜っ、と伸びをして、
それから、
後足を交互に、さっ、さっ、と蹴り上げる動作をして、
最後に、
おすわり、をしつつ、じっと、ぼくの顔を見ます。

あんなに嫌っているハーネスなのに、
差し出すと、自分から首を入れる!

なんだ、はなさん、
散歩、好きになったんじゃん!


世の中、経済情勢の悪化などにより、
息が詰まりそうな状況に陥っておりますが、
今まで、止まない雨がなかったように、
いつかは、きっと、出口が見えるはず。

こんな時だからこそ、
ぜひとも頑張っちゃいましょう!

と、はなさんが申しておりました。


関係ありませんが、
美内すずえさんの「ガラスの仮面」第43巻が、
4年ぶりに発売されましたな。
(42巻は前作から6年待ったっけ)

1巻の奥付けを見ると、初版は、1976年4月20日!
中学生で読みはじめた読者も、もう、立派な中年だ!
いやいや、そう考えると、実に、壮大ですな(笑)。

ぼくの生きている間に、
ぜひ完結させていただきたい、と強く願います。(笑)。


(撮影データ=GX100/JPG)

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 近況愚写録 

みぞうゆうの危機と好機。
(2009年2月3日)

shibainu hanasan


今日は、拙文だ、
もとい、でもないけど、そう、節分だ(笑)。

ふと、思ったんですけど、
この、世の中の、いわゆる、
みぞうゆう(笑)の危機こと100年に1度の大不況、
これって、ある意味、
ものすごく歓迎されるものではないか、と。

たとえば、世界のトヨタ自動車は、
2009年3月期連結純損益予想(米国会計基準)を、
下方修正に下方修正を重ねて3500億円の赤字と発表。
で、2〜4月の国内生産を、前年の半分にする方針らしい。

自動車販売台数世界一のトヨタが減産する、
ということは、今や、世の中を代表するヒール、
悪者中の悪者CO2を相当削減できるわけです(笑)。

もちろん、
減産するのはトヨタだけではありませんし、
自動車産業だけでもありませんし、
日本だけのことでもありません。

とすると、この世界的大不況によって、
どれだけ地球温暖化への影響が緩和されるんでしょう?

もしかしたら、日本だけじゃなく、
全世界で、京都議定書数値目標達成?


ぼくは地球温暖化という問題に対して、
すごく興味を持っているのですが、
いかんせん、典型的な文系でありまして、
いろいろな本を読んだり、ネットで調べたりしても、
いまひとつ、問題の本質が理解できないんです。

今、世の中では、

人為的CO2のせいで地球が温暖化しているから
何とかしなければならない!

という説が大勢を占めてますが、

地球が温暖化しているかどうかわからないから
何をしなくちゃいけないかなんて言えない!

という少数派説だってなかなか説得力があります。

温暖化しているけど対処は必要ない!
温暖化こそ理想の世界だ!

なんて意見はないんですかね?
まあ、たとえあっても、
マスコミとグーグルに無視されたら、
無いのと同じってことになりますけど。

しばらく前に流行っていた、
もうすぐ氷河期になる、という意見は、
いったいどこへ行ってしまったのでしょう?

問題が起こったら、まず、
原因を究明することが必要ですよね。
日本だってIPCCだけに頼るのではなく、
自前で調べるのが当たり前ですよね。

排出権取引とかまったく訳の分からない
根本原因解消にもならない、
マネーゲームみたいなものに大枚をはたくと決める前に、
徹底的に調査する必要があると思うわけです。

ただ、コンピューターシミュレーションで、
50年後、100年後の予測をして、
50年後、100年後がアブナイ、というのであれば、
ぼくは、まったく信用しませんけど。

ははは、そんなの、当たるわけないべさ!

ところで、
シミュレーション、シュミレーション、
コミュニケーション、コミニュケーション、
って、発音、時々、迷いません?
ぼくだけかな(笑)?

影響の予測だけではなく詳細な調査の結果、
もし温暖化の原因がニンゲンにあるのであれば、
そして、なおかつ、
人類生存にかかわるほど大きな影響があるのであれば、

人口抑制!!
化石燃料採取使用禁止!!
地球外移住!!

など、など、冗談ではなく、
全世界で相当踏み込んだ対策が必要なのではないか、
と思うわけです。


発表された数値を見れば、この数十年で、
地球が温暖化していることはまず間違いないみたいですね。
自分の身の回りの経験でも、
暑いなあ、おかしいなあ、と思うこともあります。

ただ、本来的には、
その地球温暖化の要因が、
地球本来の活動によるものか、
人為的に引き起こされたものかなんて、
まったく関係ないはずなんです。

もし、対処が必要なのであれば、
原因はどうあれ、対処しなけりゃダメじゃん!

しかし、3度だか、5度だかの温暖化が、
そんなにいけないものなんでしょうかね?

暑くなったら、別に、
暑くなったなりに暮らせばいいべさ!
と、お気楽シロウトはついつい思ってしまいます。
(暮らせない人がたくさんでるから問題なんでしょうけど)

温暖化はなぜいけないの?
ホッキョクグマが死ぬから?
ツバイが水没するから?
マラリアがまん延するから?
過去の、少しだけ寒冷な気象状況が、
そんなに素晴らしいことだったの?

改めて、勉強したいと思いますですはい。

不況になったとたんに、地球温暖化のことなんか、
あんまり取りざたされなくなりましたが、
(本来、好不況なんか関係ない重要問題のはず)
そういう意味でも、
地球温暖化論にしても反温暖化論にしても、
利権のニオイがプンプンしますな(笑)。


それはそうと。
話は、思いっきり飛びます(笑)。
ネットのニュースでちらっと見たのだけど、

「UKの偉大なソングライターを選ぶ新しい一般投票で、
ビートルズのジョン・レノンやポール・マッカートニーを抑え、
テイク・ザットのゲイリー・バーロウが1位に選ばれた」

だって。

おいおい、そうなの?
ゲイリー・バーロウってそんなにすごかったんだ?
(既に過去形ですが)

テイク・ザットの曲って、
バブル崩壊後にちらっと聞こえた(笑)
「Everything Changes」くらいしか知らない……。
と、いうか、
ゲイリー・バーロウよりは、
ロビー・ウイリアムズの方が有名だと思ってたぜ(笑)。

ちなみに、順位は、

1. ゲイリー・バーロウ
2. ジョン・レノン
3. ポール・マッカートニー
4. クリス・マーティン(コールドプレイ)
5. ジョージ・マイケル
6. ビージーズ
7. ノエル・ギャラガー(オアシス)
8. ロビー・ウィリアムス
9. スティング
10. ケイト・ブッシュ

(Onepoll.comが発表)

妥当って言えば妥当だろうけど、
言いたいことがある人は、多いでしょうね、きっと(笑)。


(撮影データ=GX100/JPG)

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 近況愚写録 

色々な色は色々な色じゃないかも。
(2009年2月6日)

shibainu hanasan


はなさんと散歩へ出かけると、
オオイヌノフグリやホトケノザやフクジュソウや、
日当たりがいいところではシバザクラなんかが咲いていて、
春が来たと勘違いしちゃいそう。

ただ、春の香りは、まだ。
だから、やっぱり、まだ、冬だ!


色々な色の花を咲かせた小さな草花を見ていて、
ふと思ったんだけど、
例えば、フクジュソウのような黄色い花を見たとき、
黄色い花のフクジュソウ、と言うのはおかしいのではないかと(笑)。

そもそも色なんてものは、
ニンゲンが勝手に区分しただけの定義であり、
自然の中には、実に様々な生物が生きていて、様々な物質があって、
その生物や物質の色が、たまたま人が定義したある「色」に近い、
というだけなんだよねえ。

だから、
フクジュソウの花は、実は「黄色」なんかではなく、
本来は「フクジュソウの花色」なわけで、
そのフクジュソウだって、全個体が同じ色のはずがなく、
「フクジュソウの花色」は、自分の目の前にある、
たった一つのフクジュソウの花の色を表すわけで、
さらには、
その目の前にあるたった一つの「フクジュソウの花色」も、
たぶん、見る人によって、別々に見えているのではないか、と思うわけさ。

そう、タマゴタケも、赤なんかじゃなく、
「その時に目の前で自分が見ているたった一つのタマゴタケ色」なんだ(笑)。

実にくどい(笑)。

あと、イギリスのニュートンさんが言い出した、七色の虹ってのも、
(民族的?には、5色、6色説もあるけど)
これだって、光が分解されて帯のように見えているってことだけど、
実際の色は、横文字で、スペクトルっつうんですか、
要するに、ず〜っと流れるように続いているわけで、
別に線で区切られているわけでもないから、
数的には、7色どころか1677万色にだって分解できる?


色について、色々考えているけど(笑)、
おバカなことって、考えはじめると、キリがない(笑)。
すみません、ヒマ人で。

でもまあ、「色」の定義がないと、
日常生活に不便なことこのうえないよね〜(笑)。

あと、色ってのは、人の心を鷲掴みにしますな。
(お色気ってのも男を惑わせる……)

自然の中を歩く楽しみのひとつは、
色々な色に出合えることだし、
大都会の夜景にも心を震わせる何かがあるし、
絵や粘土造形物とかのアートも、その本質的なものはもちろん、
配色の妙の虜になってしまう、ということも多々あるわけで。

きのこ・粘菌写真家!としては、
自然造形物の大きな魅力でもある「色」に鈍感にならないように、
これからも色々努力をしたい、と思ってます。


さて、さて。
どうやら、この冬は、暖冬みたいですな。

超絶激ウマ焼肉で一部有名な山木屋近くにある、
群馬有数のワカサギ釣り場である榛名湖が、
不凍のため、2007年以来、戦後2回目となる、
「氷上穴釣り」の解禁見送りになっちゃった。

そういえば、最近、息も絶え絶えになるほどの、
泣く子も黙る超絶からっ風にお目にかかってないな〜。

で、はなさん、今日のお散歩は、どこへ行きましょうか?


shibainu hanasan

どうでもいいけど、この写真のはなさん、
科学忍者隊ガッチャマンに出てくる、敵の親玉みたい。

名前は、確か、
ミラバケッソ、じゃなくて、
ベルク・カッツェ、う〜んと、惜しいけど違う、
ええと、あ、そう、そう、あそう、は、日本の親玉、
こっちのそうは、総裁X、だ。
(実は、ずっと、鳥だと思ってた)

知ってる人、いないか……。

ガラスがすごく汚くて、ちょっと恥ずかしい。
春になったら、しっかり、お掃除します。


(撮影データ=2枚=GX100/JPG)

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 近況愚写録 

よこのきのきのこどくどこのきのきのこよ
(2009年2月10日)

kabanoanatake


横の木のきのこ毒?どこの木のきのこよ?

実に、アホアホなタイトルですが、
昨晩、いきなりできてしまった、回文、です(笑)。

で、このタイトルにぴったりの写真を載せようと思って、
しかも、なるべくなら、今の季節のきのこがいいなあ、と、
過去のデータを探してみたら、こんな写真があった、というわけです。

どこにきのこがあるって?

太い幹の上の方にある焼け焦げたような真っ黒い部分に注目!
そう、知る人ぞ知る、カバノアナタケ、でございます。
毒どころか、薬用きのこの横綱ですな。
(ぼくも毎日飲んでます)

これをお題に回文をつくってみると(笑)、
カバノアナタケや!焼けたなあのバカ!

さらにさらに、
君のきのこは、この木の幹。
ってのも回文です!

今日の愚写録は、怪文だ!
お後がよろしいようで……。

またのお越しを……。


またまた関係ないハナシですが。

長らく絶版となっていた岡崎京子さんの作品、
「ショコラ・エブリデイ」が2月9日に復刻されました。

古本屋さんへ行くたびにずっと探していたけど、
これで、ようやく、ぼくの手元に、
岡崎京子さんの作品が全部揃うことに。

今なお、交通事故の怪我と闘い続けている岡崎さんの、
一日でも早い復活を、心より願ってます。


kabanoanatake

トリミングして拡大


(撮影データ=2枚=D2X/28〜70mm/RAWからJPGに変換、トリミング)

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 近況愚写録 

はなさん、大願成就。
(2009年2月12日)

shibainu hanasan

は、ふ、と一気に間合いを詰めたはなさん。


shibainu hanasan

ちょっと緊張した感じの子猫。


shibainu hanasan

ちょっと緊張した感じの、はなさん。


shibainu hanasan

くんくんくん。


お天気がいい日には、ひなたぼっこをしながら、
舐め舐めして湿らせた前脚で、顔をごしごし洗います。

高さ2メートル以上ある垂直に近い石垣を、
かさかさ、と登ることができます。

2階のベランダから庭に飛び降りたことがあります。

そして、時々、高い声で、ひゃあ、と鳴きます。

こんな、はなさんは、
柴犬のかぶり物をした猫に違いありません(笑)。


はなさんは、お散歩へ行くと、
ふんふん、と色々なニオイを嗅ぎながら、
友だちになってくれる猫を探しています。
(一度でも猫を見かけた場所はすべて覚えています)

犬と出合った場合は、無視するか、
時折ご機嫌ナナメのときには、小さく唸ったりします。
(もちろん仲のいい犬もいます)

ガキと出会った場合は、
しっぽをフリフリして近づいていきます。
(最近、犬を怖がるガキが多いなあ)

そして、運良く猫と出合ったとしても、
普通?の猫は、すぐさま逃げるか、あるいは、
背中を丸め毛を逆立てて威嚇してきます。
(猫パンチをくらったこともあります!)

さて。

昨日の夕方、小さな川のほとりを歩いていると、
1匹の子猫を見つけました。

この猫は、さささ、と逃げ出さずに、
じっと座ったままでした。

はなさんは、剣の達人のごとく、
す〜っと素早く間をつめ、一気に猫の懐へ!

猫は、ちょっと困った様子でしたが、
すごく嫌がっている風ではありません。

くんくん、ふふふん。

こんなにじっくりとニオイを嗅がせてくれた猫は、
この子がはじめてでした。

お別れしたあとも、
はなさんは、名残惜しそうに、
何度も何度も猫を振り返ってみるのでした。

めでたしめでたし。


(撮影データ=4枚=GX100/JPG)

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 近況愚写録 

チタマのチマタ。
(2009年2月15日)

shibainu hanasan


木々の緑が目に染みる新緑の候、
訪問者諸賢の皆さまにおかれましては、
ますますご健勝のこととお慶び申しあげます。

と、まあ、アホな挨拶がしたくなるような、
とんでもない陽気でございます。

この時期、日向ぼっここそ無上の幸せとするはなさんですら、
日陰で、はあはあ言ってるほどです。

2月なのに、21度(群馬南部)!って、ああた、
春なんか通り越して、夏ですよ、夏。
アイスクリームとビールの季節ですよ(笑)。

これでまた、チマタでは、
いや、チマタというより、チタマでは(笑)、
地球温暖化論がまたまたで話題になるんだろうなあ。

ちなみに、チマタ、という言葉で思い出すのは、
ず〜っとず〜っと昔に聞いた、
まだハナモゲラ語を話していた頃のタモリさんのギャグ。
確か、宣教師か何かの説教のシチュエーションでした。
内容は……。
ちょっとここでは書きにくい(笑)。

ハナシがそれました。

もし、いま話題の「地球温暖化」が、
人類によって引き起こされたのだとしたら、
こりゃあ、地球誕生以来初めてのことなんだから、
言い換えれば、47億年に1度のこと(笑)。

したがって、過去に教訓はないし、未来の予測もない。
言ったもん勝ち、やったもん勝ちの、
「地球温暖化」商法が繁盛するわけです(笑)。

でも、冷静になってまわりを見渡せば、
おんなじ「地球温暖化」というキーワードでも、
心配している人と、儲けようとしている人の区別はつくはず。

個人個人で情報をきちんと判断することが、
いっそう重要になるってことですな。

言うまでもありませんが、
いわゆる地球温暖化問題で忘れちゃいけないことは、
地球が温暖化しているかしてないか、
二酸化炭素が犯人かどうか、
ではなく、
将来に対してどういう対策が必要か、
ということだと思います。

「何でそうなるの?」
「何でそう言えるの?」

と、いうことをいつも意識して、モノゴトを、
俯瞰的、多角的、相対的に考えるようにしたいものです。

考えた結果が間違っていても、ぜんぜん、気にしない。

もし、人に披露してしまったことが間違っていたら?
元気よく、笑って、訂正する!
もしくは、
元気よく、笑って、謝っちゃう!

それで、いいんですよね。

それにしても、今、目の前にある、
政治問題と環境問題は、きな臭さ、プンプン。

いやはや、大変な時代だなあ……。


さて。
下に掲げる2枚の写真をご覧あれ。

shibainu hanasan  shibainu hanasan

左が去年の今ごろのはなさん、右が現在のはなさん。

お気づきになりましたか?
そうです、はなさんの、体型の違いに。

「わんこダイエットの決定版!わたしはコレで痩せました!!」

という広告に出演できそうです(笑)。
使用前、使用後って。

それにしても、今年のはなさんの、
プロポーションの素晴らしいこと!

いちばん太っていたときの驚愕の写真は、
はなさんの名誉のために、掲載しませんが(笑)、
これらの写真を比べても、おなかなんか、別犬(笑)です。

実は、はなさん、去年は、体重が12キロもあって、
お医者さまにも、ちょっと太り気味だ、と言われていたんですね。
(改めて去年のはなさんの写真を見ると、ぷりっぷりです!)

で、やや多かった食事量を適正にした結果、
もう目に見えて素晴らしい効果を上げたわけです。
(もともと散歩量?は多いですからねえ)

ぼくもぜひぜひ見習いたいと存じます……。


(撮影データ=3枚=GX100/JPG)

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 近況愚写録 

臨時発表された村上春樹作品。
(2009年2月19日)

honbako


ぼくが敬愛する作家のひとり、村上春樹氏が、
イスラエルの文学賞を受けることになり、
2月15日にエルサレムで行われた授賞式に参加した。

新聞やテレビでニュースをご覧になった方も多いと思う。
(動いて話す村上氏を見るのは久しぶりだ)

現実問題として、ガザ地区への攻撃など、
イスラエルの「非人道的な」政策擁護になる、などとして、
受賞拒否を呼びかける団体 があったりしたみたいだけど、
最終的に、村上氏は、授賞式へ参加する決断をした。

その授賞式での、村上氏のスピーチが公開されている。
英語 日本語訳

これを読んで、ぼくは、素直に、感動した。

すげえぞ、村上春樹!

受賞スピーチ、というよりも、
あえて「作品」とも言いたくなるような、
上質な短編小説の片鱗を垣間見た感じがした。

これは、
イスラエルへのメッセージであるし、
全世界へ向けたメッセージでもあるし、
上記の団体の質問書への回答でもある。

こういうときに、
たどたどしい日本語訳などにすがらず、
すらすらと英語が読めるといいなあ、と切に思う。

村上氏のことだから、
通り一遍のスピーチじゃないはずなのさ。

他の村上作品のように、
伏線を張ったり、二重の意味をあてはめたりとか、
きっといろいろ「仕掛けて」いると思うんだよなあ……。

日本語に置き換えることによって失われる、
微妙なニュアンスが、きっとあるんだろうなあ、
と思うとちょっと悔しい。

やっぱり、もう一度、英語の勉強をしようかなあ(笑)。


スピーチでは、
「嘘つきのプロとしてエルサレムにきました」
って冒頭で発言して、
「今日は嘘をつきません」
と続けている。

「嘘つきのプロが、今日は嘘をつきません」
と言う(笑)。

これって、
ギリシャのエピメニデスが言った、
有名な哲学のパラドックスっぽい。

あるクレタ人が「すべてのクレタ人は嘘つきだ」と言った。
じゃあ、このクレタ人の言っていることは、本当か、嘘か?

って奴ですな。
(回答を知りたい?ふふふ……)

ちなみに、
村上氏の傑作「ねじまき鳥クロニクル」には、
加納クレタって人が登場しますが、
まあ、ここでは関係ありませんね。

この表現って、あとで、イスラエルに、
うちの政策によくもケチつけてくれたよなあ、
とか言われたときの、自己防衛だったりして(笑)。

「嘘つきのプロとして来ました」
って、最初にちゃんと言ったでしょ!
ぼくは小説家ですよ!みたいな(笑)。

もちろん「壁」「卵」「The System」も重要なキーワード。
(“The System”を、そのまま「システム」と訳すのは……)

イスラエルがヨルダン川西岸地区に建設してるのも、
フェンスなんかじゃなく、壁、だし。

Yes, no matter how right the wall may be
and how wrong the egg, I will stand with the egg.
そう、どんなにその壁が正しくて、
卵が悪いとしても、私は卵の側に立ちます。

って、本当にすげえ言葉だなあ、と思う。

多少に関わらず戦争の当事国双方に犠牲者が出ているはずで、
そのほとんどが民間人だ、という事実。
パレスチナもイスラエルも関係ない。

その昔、ルソーが言ったように、
そして、
John Lennonさまが歌ったように、
民族や宗教や文化や習慣の違いを超えて、
人々が共存できる市民社会であることを願うのみ。


とにかく、とにかく、
読めば読むほどに何かが発見できるような感じ。
するめ的な魅力があるスピーチですな(笑)。

この、偶然、突然、臨時に発表された村上作品。
じっくり読み込みたいなあ、と思う。
いやあ、それにしても、英語力が……(涙)。

夏に発売される予定の長編小説、楽しみだなあ……。


(撮影データ=GX100/JPG)

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