近況愚"写"録 特別天然記念物・まりも投げ! (2007年 10月9日 火曜日) 阿寒湖では、毎年、10月8日〜10日に、 「まりも祭り」が行われる。 その一環の、まりもセミナーに参加してきた。 午前中は、 釧路市教育委員会専門学芸員・若菜勇氏による、 まりも生育についての講演。 早速、学んだ知識を、少し披露しよう。 まりもは、大きいもので、直径30センチにもなるが、 その昔は、野球ボールくらいの大きさに育つのに、 150年〜200年くらいかかる、と言われていた。 (この数字にまったく科学的根拠はない) が、最近の観察・研究によって、 最大、1年で4センチ=5年で20センチ、 生長する個体があることがわかった。 ただ、すべてのまりもがそれだけ大きく育つのではなく、 30センチにもなる「大物」まりもは、 ごくごく限られた、特別の個体なのだという。 (しかも特別な条件がいろいろ重なった場合) そして、大きく育ったまりもは、 5年〜7年くらいのサイクルで、 湖底をゆらゆらしたり、浜に打ち上げられたりと、 生長、破壊(裁断)を繰り返すらしい。 まりもは、水生だし、 同じ場所に、同じような大きさの個体が、 何万〜何十万個と分布するので、 タグやラベルで標識しても回収できないし、 まりもの他には球化する生物がいないので、 別の事例から類推することも難しいし、 生態を調べるのは、相当に困難なのだという。 でも、ま、今後も、頑張って、 研究・観察を続けていただきたいですな。 さて、午後は、 お目当ての、まりも生育地見学。 まりもの生育地区は、 特別保護区に指定されているので、 通常、一般人は、立ち入り禁止。 自然状態にある「本物」のまりもが見られるのは、 この機会だけなのである! 昨晩から降り続いた雨は、 幸いにも、昼に止んだのだが、 強風が吹き荒れ、波立つ阿寒湖は、まるで海のよう。 残念ながら、ボートで湖に出て、 観察することはできなかった。 でも、その強風が幸いしたのか、生息地付近の浜には、 打ち上げられた大小たくさんのまりもが。 本物のまりもを触ったのは、初めて。 思った以上に、ずっしりと重くて、 持ち上げると、中の水が一気に流れ出し、 ひしゃげてしまうのであった。 まりもに感謝の念をこめて、 打ち上げられたまりもを、湖に返す。 というか、ゲームのように、 他の参加者と、競争するように、投げる! うわ、これ、天然記念物だぜ、と、思いつつも、 投げる、投げる!! 楽しい(笑)。 まりもを知るには、まりもから学ぶ……。 机上の学問は、もちろん必要だけど、 フィールドワークだって、とても重要だ。 とはいえ、まりもの生育地に、 大勢で、どやどや立ち入ることは、 生育環境破壊にもつながる。 そのバランスの取り方が、実に、難しい。 まりもがいつまでも生育するための、 阿寒湖の今後の課題は、 保護、復元再生、そして、教育。 いかに多くの人に、 まりものことを知ってもらえるかが、 大きな鍵になるのだと思う。 この角度で雄阿寒岳を見ることは滅多にない。 ある意味、とても貴重なショットである。 打ち上げられたちびまりも。 阿寒湖は、強風のため波立ち、まるで海のよう。 打ち上げられた多数のまりも。 けっこう、でっかいのだ。 水際で漂う、たくさんのまりも。 遠くに見える島は、遊覧船が立ち寄るチュウルイ島。 天然まりも。 いやいや、本当に、まんまるだ。 そして、 まりもの今後のご健勝とご活躍をお祈りしつつ(笑)、 まりも投げ大会がスタート。 「か〜、め〜、は〜、め〜、は〜!!」 みんな、投げる、投げる。 (撮影データ=6枚共通=D70/28〜105mm/RAWからJPGに変換) |
近況愚"写"録 変形菌(粘菌)の世界。 (2007年 10月6日 土曜日) (撮影データ=3枚共通=D2X/105mm/RAWからJPGに変換) マニアックな世界へ、 ぐいぐい突き進んでおります(笑)。 写真に写っている個体の長さは、1cm弱。 ムラサキホコリやサビムラサキホコリにしては小さいので、 スミスムラサキホコリではないか、と思われます。 (これもムラサキホコリ科ムラサキホコリ属) こんなに鮮やかな黄色なのに、何故、 「ムラサキホコリ」という名前かというと、 成熟したときの胞子の色が紫色だから(多分)。 「ホコリ」もきっと胞子のことですね。 変形菌(粘菌)を正確に分類するには、 胞子の形や大きさや模様などを、 顕微鏡で観察しなければならないので、 素人には、ちょっとばかり、難しいのであります! (同じ個体でも色や形が劇的に変化するし) さて。 アメーバのように動き、 きのこのように胞子をつくる……。 変形菌(粘菌)とは、いったい、何ぞや? ちょっとだけ、勉強しました(笑)。 アメリカのホイタッカー氏による生物五界説では、 (動物界、植物界、菌界、原生生物界、モネラ界) 原生生物界に分類される、単細胞生物。 胞子が発芽すると、 べん毛を持ってたり、アメーバ状であったりする、 雌雄別の単核細胞を生じます。 雌雄が合体!!して、接合体になると、 バクテリアやカビなどの微小生物を食べて、 細胞分裂を伴わない核分裂を繰り返し、 (ここがアメーバとは違う) 多数の核を持つ大型のアメーバ体=変形体になります。 変形体が成熟すると、ある一定の条件下で、 集合して無数のつぶつぶ状の子実体原基をつくり、 それが、にょきにょきっと伸びて、 上の写真のような子実体となって、 胞子を形成し(色が変わる)、飛散させます。 そして、それが、発芽。 以下、繰り返し、繰り返し……。 こんなライフサイクルで生きています。 変形菌(粘菌)については、 まだまだ、書きたいことがたくさんあるので、 (知りたいこともたくさんある) 続きは、また、別の機会、ということで。 最後に、逃げの一手を(笑)。 へんけいきん【変形菌】 菌類と原虫類の性質を備える植物界の一門。 胞子は発芽してアメーバ状細胞を生じ、 集合して運動性のある変形体となり、 のちに胞子嚢(のう)または子実体を作る。 ムラサキホコリカビ、ツノホコリカビなど。 粘菌(ねんきん)。 (新辞林より) ねん‐きん【粘菌】 下等菌類の一群で、植物分類上の一門。 栄養体は変形体といい、 不定形粘液状の原形質塊でアメーバ運動をする。 子実体は赤・黄など鮮やかな原色のものが多い。 繁殖は胞子により、発芽すれば配偶子となり、 さらに癒合して変形体となる。 ムラサキホコリカビ、カワホコリカビなど。 (広辞苑第五版より) 「植物界の一門」「植物分類上の一門」 という表記は、生物二界説、三界説によるものですな。 |
近況愚"写"録 マメホコリ。 (2007年 10月5日 金曜日) (撮影データ=2枚共通=D2X/105mm/RAWからJPGに変換) 〜2枚目は、トリミングしてます〜 思えば、ここまで粘菌にハマるきっかけになったのは、 去年、この、マメホコリを見つけてからのこと。 不思議なもので、一度、意識し出すと、 今まで気付かなかった場所でも、 いたるところで、マメホコリが目に入るように……。 さらには、子嚢菌、粘菌など、微小の菌類に、 びびびびび、と、つい反応してしまうのであります(笑)。 それはともかく、色といい、造形といい、 いい味だしてますよね〜。 マメホコリは、ドロホコリ科マメホコリ属。 上の写真のいちばん大きい個体で、直径1センチくらい。 若い個体は、触ると、ぷにゅぷにゅしていて、突っつくと、 中から、真っ赤な液体(???)が、ぷに、と出てきます。 ピンク色のほか、褐色系の個体も見かけるのですが、 近い将来、分割されて分類される可能性もあるとか。 時間が経つと、だんだん、外側が堅くなって、 灰色っぽい色とか、黄土色っぽい色になります。 |
近況愚"写"録 雨に、思う。 (2007年 10月4日 水曜日) みるみる雲が頭上を覆い、大粒の雨。 雨は、生命を育み、大地を潤す。 ぼくらも、くまも、へびも、サンショウウオも、 木も、草花も、シダも、コケも、きのこも、粘菌も、 雨のおかげで生きていけるのに、 雨が降ると、天気が「悪い」などと、 罰当たりなことを言っている。 (先日、天気予報に八つ当たりしていたのは誰だ?) レインウエアは持っているけど、 どうせ、汗で、びっしょりなので、このまま、濡れていく。 東の空を振り返ると、大きな虹が出ていた。 (撮影データ=D70/28〜105mm/RAWからJPGに変換) |
近況愚"写"録 ぷりぷりの、美味きのこ。 (2007年 10月3日 水曜日) ブナシメジ (撮影データ=D70/12〜24mm/RAWからJPGに変換) 性懲りも無く、また、きのこネタ(笑)。 阿寒湖周辺では、食べられる、というレベルではなく、 すごくおいしいきのこが、 たくさん見られるようになってきましたよ。 まずは、ブナシメジ。 にょきっ、と木から出ている姿の美しさ! 手にしたときの、ずっしり感! 何より、うまい! たまりません。 エノキタケ (撮影データ=D2X/105mm/RAWからJPGに変換) エノキタケ、と聞くと、スーパーで売っている、 ひょろ長で、真っ白な、小さいきのこを思い出す人が多いでしょうが、 天然のエノキタケは、茶色くて、粘性があって、 けっこう大きく成長します。 味は、もう、まったく別モノ。 天然エノキは、それほど、おいしいです。 晩秋〜初冬くらいまで採ることができるので、 水辺で、群生している株を見つけたら、 大きくなるのを待って、少しずつ、いただきます。 |
近況愚"写"録 イオマンテの火まつり。 (2007年 10月2日 火曜日) 10月10日から始まる「イオマンテの火まつり」の、 事前お披露目を見てきた。 そもそも、イオマンテとは、アイヌ民族の送り儀礼。 一般的には、クマのイオマンテを指す場合が多いが、 崇高な動物の姿を借りてアイヌコタン(人間界)にやってきたカムイを、 カムイコタン(神々の世界)へ送り返す儀式だ。 「本物」のイオマンテの儀式は、「野蛮な儀式」とされ、 (小熊を殺し、解体し、その肉を儀式の参加者に振舞うから?) 1955年に、北海道知事名の通達によって、事実上禁止されたが、 今年、2007年、通達は撤回され、52年ぶりに儀式が復活したとか。 (何で通達が撤回されたのだろう?何で今年なんだろう?) ホント、役人の考えることはワカリマセン。 阿寒湖で毎年行われている「イオマンテの火まつり」は、 もちろん、観光客向けのショーであります。 ステージづくりなど、このお祭りの準備が始まると、 ああ、そろそろ、東北へ旅立つ準備をしなくちゃなあ、と、 毎年、ちょっと落ち着かなくなります(笑)。 北海道の深まりゆく秋も捨て難いけど、 紅葉真っ盛りの東北は、魅力十分。 いつ、北海道を出発しようかな……。 ちなみに「イオマンテの火まつり」は、 10月10日〜12月1日の間、午後9時から、 阿寒湖畔野外コタン広場で行われます。 (入場料、大人1000円) 開催10周年の今年は、 音楽も、舞踊も、パワーアップしているとか。 (撮影データ=6枚共通=D70/28〜105mm/RAWからJPGに変換) |
近況愚"写"録 輝く森の宝石。 〜オオセンチコガネ〜 (2007年 10月1日 月曜日) (撮影データ=D2X/105mm/RAWからJPGに変換) おいしそうなブナシメジを見つけて、 採る前に、写真を撮っていたら、 ぷ〜ん、という、甲高い、羽音のような音が聞こえてきた。 辺りを、きょろきょろと探すと、 苔むした朽ち木の横にいたこいつを見つけ、 思わず、「うお〜」と叫んでしまった(笑)。 ね、きれいでしょ? この虫は、オオセンチコガネ。 道東では、ごく当たり前に見ることができる。 と、いうのは、エゾジカのフンを食べて生きているから。 青っぽい色や、緑っぽい色をした個体がいるのだけど、 赤紫色がかったこの色が、いちばんきれいだと思う。 図鑑ではなく、実際に、自然の中で、じっくり観察すると、 絶妙の配色、金属のような光沢、精緻なデザインなどなど、 つまりは、その存在すべてに、感動! |