近況愚"写"録

雨ニモマケズ。
(2007年 9月30日 日曜日)

天気予報では、快晴。
でも、実際の天気は、雨。

山間部に位置する阿寒湖畔の天気を、
ぴったり当てる?のは、とっても難しいだろう。
でも、当日の朝発表した天気予報が、
まったく当たらないんじゃあなあ……。

昨日は、まさに、それ。
天気予報を信じて出かけたのに、
土砂降りの、本降り!!
ぼく自身も、カメラも、びしょ濡れだ!
いまの時期、濡れると、思いっきり寒いのさ。
これからは、天気予報がどう発表されようが、
カッパは、必携にします。

心の底では、信じたい……。
でも、今までのことがあるから、信じるのが怖い……。
でも、やっぱり、信じたい……。
そう、信じることが大切……。

でも、やっぱり、裏切られる!

昨今の天気予報に対する一般市民の感情は、
浮気男、性悪女にうっかり惚れてしまった、
弱み?みたいなものではないかと(笑)。
最近の「お天気お姉さん」は、みんなかわいいので、
特にそう思ったりして……(笑)。

天気予報に関して、頼れるのは、天気屋さんだけ。
どうか、しっかり、お願いしますだ。


mori
風や病気で倒れた「親」を養分にして、
次世代をになう「子ども」が育っていく。
これが、いわゆる、倒木更新。
倒れた「親」も育っている「子ども」もアカエゾマツだ。
写真の真ん中で実をつけているのは、ゴゼンタチバナ。
秋が深まると、真っ赤に紅葉する。


konaakamigoke
地衣類のコナアカミゴケ。

インターネットで調べてみると、
もともと「コアカミゴケ」と言われてきたが、
日本には、存在しない、ということが分かって、
今では「コナアカミゴケ」と分類されている、
と、いう解説がたくさん見つかる。

だけど、どのサイトも、そのソースが書かれてない。
国立科学博物館のHPでは、「コアカミゴケ」のままだし。
ま、事実は、そのうち、判明すると思いますが、
とりあえず、ここでは「コナアカミゴケ」説を採用します(笑)。


shiro torikabuto
ぶらぶら歩いていたら、白いトリカブトを発見。


akanko
夕方、一瞬だけ、太陽が顔を見せた。
東の空に、虹がかかった。

撮影データ=上の3枚=D2X/105mm/RAWからJPGに変換
下=D70/12〜24mm/RAWからJPGに変換





近況愚"写"録

ただいま、近くの、森にいます。
(2007年 9月29日 土曜日)

晴れた日も、雨の日も、風の日も、
阿寒湖周辺の森を歩くのが日課。

毎日歩いていても、
毎日新しい発見がある。

同じ場所へ行っても、
朝か、昼間か、夕方か、太陽の光の加減ひとつで、
まったく別の場所のようにも見える。

トドマツの原生林を歩く。
鼻にツン、とくるような、ジンが飲みたくなるような(笑)、
針葉樹特有の湿った香りが、ほのかに漂う。

聞こえるのは、落ち葉を踏みしめる、自分の足音。
風が演出する、木々のこすれる音。
クマゲラの鳴き声。

西の森に吸い込まれる直前の、
今日、最後の、太陽の光が、
赤味を加えて、木々の間から、差し込む。

冷えてきたな。


benitengutake
別名、森の妖精、と言われる、ベニテングタケ。
でも、毒きのこなので、鑑賞するだけにしましょう。


mori
森の奥へ奥へと入っていくと、
「ピッ」と、甲高い声で、鹿が鳴いた。
仲間に、変な奴が近づいている、と警告しているのかな。
構わず、歩いていくと、
一面苔で覆われ、ぽっかり開けた場所に出た。


makukinugasatake
ふかふかの地面に座り込んで、
ぼ〜っとしたり、写真を撮ったり。
なんか、臭うなあ、と思って、辺りを見回すと、
すぐ近くに、マクキヌガサタケが顔を出していた。
うわ、どうりで、臭いわけだ。


mori
大きな樹が倒れたことでつくられた空間では、
次世代のトドマツが、激しい生存競争を繰り広げている。
しかしまあ、やっぱり「新緑」の頃に比べたら、
瑞々しさがない、というか、
秋が深まってるんだなあ、と感じさせる光景ですな。
赤い実をつけているのは、
ゴゼンタチバナやマイヅルソウ。

(撮影データ=4枚共通=D70/12〜24mm/RAWからJPGに変換)




近況愚"写"録

粘菌?変形菌?
(2007年 9月28日 金曜日)

ちょっと、困った事態になっている。
森から帰ってくると、目が疲れて、疲れて(涙)。

原因は、ただひとつ。

森で、古く、苔むしたような倒木を見つけると、
しゃがみ込んで、じっくり、じっくり、
きのこ(特に子嚢菌)、粘菌(変形菌類)、地衣類など、
超微小の菌類を、探しつつ、撮影するからである(笑)。
(森の中は、昼間でも薄暗いし……)

森に入って、小一時間もすれば、
目が、じんじん、頭が、がんがん。
マクロ撮影も、なかなか大変なのさ。

いま、粘菌(変形菌類)について、勉強中なので、
「粘菌(変形菌類)とは何ぞや?」
という、基本的な事柄については、
後日、改めて、アップしたいと存じます。

そもそも、正式?な言い方は、
「粘菌」なのか「変形菌」なのかも分かりません。
先日購入した本のタイトルからして、

「粘菌〜驚くべき生命力の謎〜」(誠文堂新光社)
松本淳=解説、伊沢正名=写真

「日本変形菌類図鑑」(平凡社)
萩原博光・山田幸憲=解説、伊沢正名=写真

だもんなあ……。


nenkin
ウツボホコリ(小豆色)とヌカホコリ(山吹色)。
多分、これらは、中で胞子を形成している途中の、未熟な子実体。


utsubohokori
ウツボホコリ。
子実体が成熟し、乾燥すると、
網状の細毛体が子嚢を破って伸びてきて、胞子を飛ばす。
この大きさでも、5ミリあるかないくらい。

それにしても、この造形美!
森の倒木の陰に、ちょっと目を向けると、
こんなにすごいデザインが見られるんですぜ。


nukahokori
ヌカホコリ。
このつぶつぶの高さは、2〜3ミリくらい。
白い部分は、子実体になる前の、変形体?
それともまったく別の粘菌?きのこ?

(撮影データ=3枚共通=D2X/105mm/RAWからJPGに変換)
すべて、トリミングしてます





近況愚"写"録

冬から、秋へ。
(2007年 9月27日 木曜日)

ふと、思い立って、雄阿寒岳へ登ってきた。

天気予報では、一日中、晴れ、なのだけど、
風が思いっきり強いし、阿寒湖畔から眺めると、
7合目くらいから上は、雲の中……。

ちょっと、嫌な予感(笑)。

その、嫌な予感が、現実のものとなったのは、
樹林帯を抜けた5合目くらいから。
強風をもろに食らうことは、覚悟していたのだけど、
常緑のはずのハイマツが、真っ白!
そう、しゃらしゃらに凍っているのである。

バックパックにつけてある温度計を確認すると、
気温は、なんと、マイナス1度!
Tシャツ&ハーフパンツという、
山をなめた格好は、死を意味するので、
あわてて、レインウエアを着込む(笑)。

ダケカンバやナナカマドなど、
山頂付近の木々はそこそこ色づき始めているが、
強い風にあおられるので、ゆっくり見物しているヒマはない。
ときどき、雲の切れ間から、青空がのぞいていたが、
頂上から下りたと同時に、厚い雲が空をおおい、
同時に、雪が降り出した。

なんてこった!

気温マイナス1度、風速約15メートル、天気は雪……。
これって、冬山じゃん!

この時期の北海道の山は、天候の急変に注意。
できれば、冬山装備で登りましょう。

この低気圧が通りすぎれば、
冬から秋にもどって、
きれいな紅葉を見せてくれるかなあ?
今度は、雌阿寒岳に登ってみるか……。

ちなみに、前にも書いたかもしれないけど、
雄阿寒岳の合目標識?は大嘘なので、要注意。
5合目の標識は、実質8合目なのだ!

oakandake

oakandake

oakandake
(撮影データ=3枚共通=D70/28〜105mm/RAWからJPGに変換)




近況愚"写"録

雨上がりの森へ。
(2007年 9月24日 月曜日)

dokubenitake
(ドクベニタケ)
(撮影データ=D70/12〜24mm/RAWからJPGに変換)



夜から降り続いた雨が、
朝になって、ようやく、小止みになった。

いざ、森へ。

スーパージムニー2号から下りると、
甘酸っぱい乳酸菌飲料、というか、
焼いた砂糖に醤油を加えた、というか、
甘いような独特の香りが、ほのかに漂っている。

香りの元は、カツラの木。
黄葉が始まる頃に分泌される、
マルトール、という香気成分である。
(香料、食品添加物として広く用いられている)

また、森の香りとしてよく知られ、
リラックス効果や免疫力アップをもたらす、
フィトンチッドという物質も、
雨上がりには、放出量が増えるらしい。

お目当ての、きのこや粘菌も発生するので、
雨上がりの森の散策は、心にも、体にも、
いいことずくめなのだ。

木々の葉の色づきはまだいまひとつだけど、
阿寒の森は、秋本番を迎えたのであった。

す〜、ふう〜(深呼吸)。


ruiyobotan
(ルイヨウボタンの実)
(撮影データ=D2X/105mm/RAWからJPGに変換)




近況愚"写"録

ミクロな世界を、マクロで撮る。
(2007年 9月21日 金曜日)

nameashitake

大きなきのこはもちろん、
小さなきのこもまた、面白い。

このナメアシタケは、傘の直径が、1センチくらい。
大きなアカエゾマツの根元に生えている、
スギゴケの間から顔を出していた。

三脚を立てる場所がなかったので、
ちょっとブレてしまったのだけど、
これはこれで、実に、味わいのある写真になったと思う。


ochibatake

子嚢菌に分類される、
アラゲコベニチャワンタケの写真を撮りに、
森の中の、小さな小さな川へ出かけた。
(水のそばの倒木に生えるのさ)

横たわり、苔むした大きな樹を、
右から、左から、舐めるように、凝視!
お目当ての、アラゲコベニチャワンタケは、
写真に撮りたくなるような個体がなかったけど、
代わりに、いい感じ(笑)の、オチバタケを見つけた。

このきのこの良さ、わっかるかなあ?
わからねえだろうなあ!


uguisugoke

トドマツを中心にした、針葉樹の森へ。
雨上がりの、少し湿った森の香りに、ほっと一息。

ゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、イチヤクソウなどの高山植物と、
ウグイスゴケ(地衣類)をびっしり生やした倒木が、地面を覆う。

2〜3匹のクマゲラが鳴き交わす声が、間近で聞こえた。


ka

アカエゾマツの根元に、太陽の光が差し込むと、
苔の中から、小さな虫が、一斉に飛び立ち、
まるで、夜空に浮かぶ、星のように見えた。

ありきたりの瞬間だけど、じっくり眺めると、
逆光に輝く虫たちの飛翔は、生命の力に満ちていた。

でも、吸血昆虫は、大嫌い(笑)。


(撮影データ=4枚共通=D2X/105mm/RAWからJPGに変換)
4枚目は加工写真(虫を2匹追加!)です。




近況愚"写"録

ついに、冬虫夏草、発見!
(2007年 9月17日 月曜日)

sanagitake

sanagitake

sanagitake

tochukaso
この4枚目の写真は、何かのサナギなんだけど、
冬虫夏草なんだか、カビなんだか、よく分かりません!!

(撮影データ=4枚共通=D2X/105mm/RAWからJPGに変換)


ついに、というか、とうとう、というか、
まあ、とにかく、阿寒の森に無いはずはない(笑)、
「冬虫夏草」を、念願かなって、見つけた。

やったあ!

雨にも負けず、風にも負けず、
服が汚れるのもなんのその、
森の中で、ひざまずきつつ目を凝らし、
揚げ句の果ては、四つんばいになって、
地面や倒木の匂いを嗅がんばかりに顔を近づける……。

「普通のきのこ(=担子菌)」に飽き足らず、
子嚢菌(しのうきん)に分類される、
超微小、びらびら、にょろにょろ系(笑)の、
とてもマニアック(?)なきのこを探すことが、
最近のマイ・ブームなのだ。

「おっ、アラゲコベニチャワンタケだ!」
aragekobenichawantake
(撮影データ=D2X/105mm/RAWからJPGに変換)

「こっちには、ナガミノクロサラタケ!!」
nagaminokurosaratake
(撮影データ=D2X/105mm/RAWからJPGに変換)

「ロクショウグサレキンもある!!!」
rokushogusarekin
(撮影データ=D2X/105mm/RAWからJPGに変換)

「モエギビョウタケ、すっげえ、きれい!!!!」
moegibyotake
(撮影データ=D2X/105mm/RAWからJPGに変換)


そして、そして、ようやく、
冬虫夏草とのご対面に至ったわけさ(涙)。

冬虫夏草とは、もともと、
中国、チベット、ネパールの高山地帯に分布する、
コウモリガの幼虫から出た、ひとつの種類を指していたが、
(古くから、漢方薬や薬膳料理に重用されてきた)
今では、昆虫から生じているきのこの総称として使われている。
(だから、日本で採れたものの薬効は???)

今回、見つけたのは、
鮮やかなオレンジ色とぶつぶつが印象的で、
蛾のサナギに寄生している、その名も、サナギタケ。
きのこって、本当に、面白いなあ!

他のきのこはもちろん、地衣類、粘菌の写真も、
そのうち、アップする予定です。


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